Seed Cake * シードケーキ

『Seed Cake』
直訳して種のケーキ

春の小麦の種まきが終わった後の宴にふるまわれていたという、とてもオールドファッションなケーキです。

食べられる種というと、カボチャの種、ひまわりの種、ゴマ、ケシの実などを思いつきます。
このケーキに使われる種は“キャラウェイシード”という香辛料の一種です。
甘く爽やかな香りでほんのり苦みがある、と書くと美味しそうですよね。
香辛料の一種なのでなかなかの強烈な香りです。

私は初めてこのキャラウェイのシードケーキを食べたのは小学生だったか中学生のころ、図書館で借りたお菓子の本に載っていて、とてもおいしそうで興味を引かれて自分で作ってみたのです。
ケーキ生地はヨーグルトを使ったしっとり濃厚な美味しいパウンドケーキで、そこに散りばめられた強烈で独特の初めて口にする香りに、これは…苦手だ!と思ったのです。
その日焼いたシードケーキは叔母がとても気に入ってくれたので、すべて叔母にあげました。そんな思い出が私の初シードケーキです。
そんな苦めな思い出だったので、イギリスへ行くまではすっかり忘れていました。

Caraway seed

イギリス菓子を色々と勉強していくうちに再び「Seed Cake」と巡り合いました。
有名な物語にも出てくるこのお菓子、ぜひとも食べてみたい!と。

昔は図書館で本を借りるしかなかったですが、今やインターネットというありがたいものがありますので、ちょっと調べればシードケーキのレシピはたくさん出てきます。

初めて食べたあの思い出のシードケーキから、BBCをはじめとするイギリスのレシピまで色々と試して作ってみました。
しかしながら、なんとなく、おいしいのですがまた食べたい!と思えなくて、
あ~やっぱり私は根本的にキャラウェイが好きじゃないんだろうなぁと。

なのですが、苦手だからおいしく感じないという結論に納得がいかなかったのです。

それから気が向いたら作ってみて食べてみるというのを何度か繰り返しましたが、やはり納得できず。

その後、昨年の夏に久々に渡英し、レシピ本を何冊か買ってきました。
イギリス菓子のお店を始めてからはなかなか時間をうまく使えず、せっかく買ってきた本も参考程度にしか活用できていなくて、、、
そして、このような現状となった今、幸か不幸かちゃんと本を読み込む余裕ができたのです。

そのおかげで、シードケーキの納得できない何かが解決しました。

それは、私はイギリス菓子に魅了されてからイギリス菓子ばかり作って、イギリス菓子の事ばかり考えていたくせに、なぜ今まで知らなかったのか?という本当に基本のキの事でした。

イギリス菓子の一番ポピュラーな基本となるケーキと言えば「ヴィクトリアサンドイッチケーキ」ではないでしょうか。

小麦粉・バター・砂糖・卵、この4種をほぼ同割で作る″Victoria Sponge”
イギリス菓子のレシピを本やネットで調べるとこのヴィクトリア スポンジがベースとなることが多く、基本のスポンジであることが分かります。

私はこれに囚われていました。


運よく古いレシピ本を何冊か手に入れることができて、そこに書いてありました。
ケーキは作り方と配合により大まかに4種に分けられる。
 ①粉が多く、油脂や砂糖が少ないもの
 ②油脂を含まず、卵と砂糖の分量が多いもの
 ③粉、油脂、砂糖の分量が多いもの
 ④ジンジャーブレッド

そして、基本的に「Seed Cake」は①の粉の分量が多いジャンルに入るケーキであったのです。

ちなみに、ヴィクトリア スポンジは③のジャンルに入ります。
粉が多めの配合であるはずのマデイラケーキもまだまだ③の仲間です。

そしてそして、シードケーキのwikiによると、
cheap seed-cake“ と ”a rich seed-cake″ があるとのことで、
確かに私が持っている本にもただの「Seed Cake」と「Rich Seed Cake」の両方が載っていて、前者は①の粉多めジャンルで後者は③のリッチ配合ジャンルにカテゴリー分けされています。

つまり、私は今まで基本であるVictoria Spongeに囚われて、なおかつSeed Cakeとして調べて試作してきたものも全部リッチ配合の物ばかりであったのです。私は今まで③のジャンルだけを見てきてそこでずっとグルグルしていたのです。

これに気が付いた時にはもう、恥ずかしさと悔しさがこみ上げてきました。
イギリス菓子に魅了されて、わざわざVISAを取って現地まで行ったというのに、自分は全然勉強できていなかった…と自分自身に落胆しました。

まあ、でも今回気が付くことができたのだし、
そうじゃないと私は今でも③しか見えていなかったのですから!
独学で勉強すると回り道は仕方がない仕方がない、と思うことにします。笑


ということで!
前置きが非常に長くなってしまいました。
古いレシピ本を参考に、オールドファッションなシードケーキを作ります!

粉多め、油脂は少なめにラードではなくバターにしました。
パッケージのしやすさを考えてローフ型で焼いています。
基本的にすべての材料を順にぐるぐる混ぜる、シンプルです!

見事に膨らんで焼けました!
味見が楽しみでなりません。
油脂が少なく、粉が非常に多い配合です。
粉っぽく、パッサパサしているのではないか…という心配がよぎります…

紅茶を淹れて、いただきます!

こ、これだ!
私が食べたいと思っていた望んでいたSeed Cakeの味はこれです!

心配していた粉臭さやパサパサ感はないです。
もちろん油脂が少ないのでしっとりでコクのある味ではありませんが、とても軽くて食べやすい。口どけも悪くないです。パサパサではないですがクランブリーな感じ。
素朴な生地感に個性的なキャラウェイの香りがちょうどよくケーキのアクセントになっています。

食べてみて理解しました。
なぜ今まで試作してきたものに納得できなかったのか。

今まではリッチで濃厚な生地に個性的なキャラウェイの香りが浮いている気がしていたのです。味の強いものと味の強いものがぶつかり合ってうまくいっていっていないイメージでしょうか。
今回作ったものは、素朴な生地に個性の強いキャラウェイの組み合わせでバランスが取れた!と感じました。また食べたい!と思えました。

Seed Cake、克服です!

アガサ・クリスティーの物語に出てくる本物のシードケーキかどうかは分かりません。
私が今回作ったものではなく、リッチ・シードケーキが正解かもしれませんし、もっともっと他の作り方、配合のものかもしれません。う~ん、ロマンですね。

私は素朴シードケーキを好みとしましたが、バターや卵の風味豊かな生地にキャラウェイの香りの融合の方が断然おいしいわ!というのもアリだと思います!
昔からレシピにcheaprichが用意されているということは、これは完全に個人の好みによるところ、ということです♪

何にしても、どちらであっても、このケーキは紅茶との相性抜群です!
最高に幸せなひと時を過ごせることは間違いないです♪


個人的にシードケーキのおかげで、私はちゃんと一からイギリス菓子を勉強しなおさなければ!と気を引き締めなおすことができました。
そして、やはりイギリス菓子は面白い!勉強し直してこの世界をもっと知りたい!と改めて強く感じました。



6 Comments

  1. 9を追加の人

    四月のお菓子ボックス再販分ありがとうございました。無事に当方に届きました。
    パッケージの世界観もかわいらしく、お花を手にお写真のイギリスのカントリーサイドを旅するような気分で、長い連休中、毎日一つ一つ大事にいただきました。

    シードケーキ、ちょうどテレビで放映されていましたね。
    ケーキの生地の違いに気づかれたということで、読みながら私も、そうなんだ?!それがポイントだったのか・・と驚きつつ、ご店主様の勉強熱心なご様子に感動しました。(普通にバターケーキの生地にキャラウェイを入れればOKと思ってしまいますものね?)

    日本ではミス・マープルに出てくるような「ほんもののシードケーキ」を売っているところがなかなかないと思います。
    来月またボックスで通販していただけるようでしたら購入したいと思います。楽しみにしております。

    返信
    1. acco (投稿者)

      9を追加の人 様
      コメントありがとうございます
      そして4月の通販をご利用くださいまして誠にありがとうございます!
      気に入っていただけてとても嬉しいです♪

      私もあのプログラム楽しく拝見いたしました。
      ちょうど同じ時期にシードケーキの特集でびっくりでしたが、ちょうどこの春に食べられていたケーキだからかもしれませんね♪
      5月の通販にシードケーキを入れたいと思っております。
      生地については好みによることだと思いますので、素朴版シードケーキをぜひお試しいただいて味の違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。
      acco

      返信
  2. みっちー

    いつものことですが読んでいてとても引き込まれます。
    お菓子作りだけでなく文章も上手なんですね♪
    シードケーキも美味しそう(♡o♡)

    返信
    1. acco (投稿者)

      みっちー様
      ありがとうございます!
      シードケーキ、キャラウェイの香りと素朴な生地感がお好きでしたらお勧めいたします♪
      acco

      返信
  3. 渡邉麻衣子

    麻衣ちゃん
    先程、お取り置きをお願いしておりました
    シードケーキとスコーンを購入させていただき
    ました。
    帰宅し早速、シードケーキを紅茶と一緒に楽しみ
    ました。
    とてもとても美味しかったです。
    また再販していただけたら嬉しいです。
    紅茶に興味を持つようになり、イギリス菓子も
    大好きになりました。
    地元にこんな美味しいイギリス菓子のお店が
    あるなんて、とても幸せです。
    これからも楽しみにしております。
    またお伺いさせていただきます。

    返信
    1. acco (投稿者)

      麻衣さま
      コメントありがとうございます。
      そしてご来店くださいまして誠にありがとうございます。
      紅茶と一緒にお菓子を楽しんでいただけてとても嬉しいです。
      紅茶とイギリス菓子の相性は抜群ですよね♪
      そうおっしゃっていただけると地元でお店を開いて本当に良かったと思います。
      こちらこそまたのご来店を心よりお待ちしております。
      どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
      acco

      返信

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