スコーンについて考えてみる


イギリス滞在中、たくさんのスコーンを食べてきました。写真に撮ったものを数えてざっと40個ちょっと。
イギリス菓子を学ぶことが目的の渡英でしたので、この数は少ないかもしれないです。

色々食べて分かったのは、人の好み、店の味、スコーンの味は十人十色。
ほわほわ⇔ガリガリ、しっとり⇔パサパサ、パン風⇔ビスケット風 その組み合わせは無限大。

イギリスから帰国後、よく聞かれた質問が「本場のスコーンってどんななの!?」というもの。
上記理由から、「色々だった。」と答える私。
質問者からキラキラとした希望と好奇心を奪い、こいつ本場で何してきたんだ・・・というガッカリした顔をさせてしまったことが何度もあります。
私が逆の立場であったなら自分もその答えにガッカリすることは間違いなく、イギリスまで行ってスコーンを食べ歩いてきたくせに回答者として全く役に立てていない。

なので再度、イギリスのスコーンってどんなんだったかなと考えてみたいと思います。

 

はじめに、スコーンとは?という名前の由来や歴史的なものに関して私はwiki以上の知識は持ち合わせていないので、そのあたりはスコーンwikipediaをご参考にしていただくとして、私が体験した味以外のスコーンの思い出といえば、スコーンという発音についてです。

イングランドではそのまま日本語読みの「スコーン」で全然通じるし何も言われないのですが、スコットランド人からすると「スコーン」というコとンの間を伸ばすこの発音がどうにも気に入らないらしく、現地の語学学校に通っていた時にスコットランド人の先生に「あなたの発音は間違っている。スコーン(skəʊn)じゃないスコン(skɒn)だ!」と注意されて、「スコン?」と言い直すと、「違う!スコンッ(←なんかこう、シュッとした感じに発音してた)だ!」「スコンッ?」「違うー!!」というやり取りを3往復くらいしたものの、全く“スコン(skɒn)”という発音が出来ない私に先生がプンスカなさるという思い出です。
今までスコーンの発音で通じなかったことはないし、正直途中でどっちでもいいわ~と思ってしまいましたが、スコーンの発祥はスコットランドということもあるのか、そこだけはイングランド発音に対して譲れない想いがあるのだろうなと感じました。

 


こちらは私がイギリスへ行って初めて食べたスコーン

焼き色がゆるく、中がしっとりと作られていて、レーズン入り、お店側が勝手にジャムとクロテッドクリームをサンドしてしまっているスタイル。
このモリモリとサンドされたクリームのビジュアルに惚れて注文したのです。
初めて食べた時はクリーム多いわ~と思っていたのですが、その後色々食べ歩いてくるとこの量こそ普通。むしろ必要量という理解に至ります。恐ろしい。


大きさも、色も、膨らみ具合も食感も様々です。

 外はカリカリさくさく、でも中はほわほわホロホロやわらか
 ギュッと詰まっていてしっとりしている
 外も中もふかふかでこれはもうパンだな、パン!
 もう全部硬い、これはもうビスケットだな、ビスケット!
 ムクムクとよくふくらんでいるけど、ベーキングパウダーの味がすごい
などなど、様々な味わいでした。

形は日本でよく見られるようなスンっと綺麗に形が整ったものより、四方八方自由に伸び膨らんでラフにゴロっとしたものが多かったように思います。

そんな中で自分がイギリスで食べてきたものを平均値化して考えると、
パサパサとして口の水分が全部持っていかれる系のものは少なく、中は適度にしっとりほわっととして、やや重めの食感で、甘みも少ない、基本的にバターやらジャムやらクロテッドクリームやらを付けて食べるものとして味わいはとても素朴です。

また、いわゆるスタバなどにあるアメリカンスコーンと呼ばれている物のようにそのままで美味しく食べられるように十分な甘みがついていたり、生地にチョコを入れたり紅茶の葉入れたりなどフレーバーが豊かではない印象です。
家庭で楽しまれるものとしては様々なフレーバーがあるのでしょうが、ティールームなどで提供されている物はプレーンスコーン、フルーツスコーンと呼ばれるカランツやレーズン入りのものが一般的で、たまにブラウンと呼ばれる全粒粉を使用したものやセイボリー系でチーズ入りなどを見かける程度でした。

しかし、イギリスのすぐお隣のアイルランドへ行った時、スコーンが美味しいと有名なティールームではアップルシナモン味やブルーベリー味などフレーバーがたくさんありました。
近くても国が違えば売られているスコーンも違うのかな?面白いです。

 


とにかくスコーンは十人十色、何が美味しいかはその人次第
なので配合、作り方も数え切れないほどあります。

一番シンプルな基本的な作り方として、ベーキングパウダー入りの小麦粉に固いバターをすり混ぜて、砂糖、塩を加え、牛乳で粉をまとめて、型を抜いて焼くです。

私が一番最初に作ったスコーンは、イギリスのティータイムに憧れて図書館で英国紅茶に関する本を借りまくっていた頃、本の中にあった本場イギリスのおばあちゃんのレシピ!というものを参考にし、そのレシピに通りに作ったレーズン入りのスコーンでした。
初めて作ったスコーンはとんでもなく美味しくて、感激して、その後毎週作っていたほどでした。
しかし、作っていくうちにいつも同じように作っているのだけど何かいつも味が違う、むしろ今日作ったのはマズイなぁなどと差を感じるようになっていき、そうなってくると本やらネットやらでスコーンのレシピを猛検索して、ありとあらゆるレシピで作ってみるというスコーン沼にハマっていったのです。

粉は何を使うのか、卵入れるのか入れないのか、牛乳を使うのか、ヨーグルトを使うのか、捏ねるのか捏ねないのか、イースト入れちゃう?、バターじゃなくて別の油脂を使う、生クリームを使う、生地を寝かせる?寝かせない?などなど。
もうこうなってくると完全にスコーン迷子です。何が美味しかったんだっけ・・・という答えを見失った出口のない戦いに終止符を打つべく、私は英国行きを決めたのです。

本場のイギリスへ行って、スコーンをむさぼり食べて、出た結果が、「本場の味も色々だったー!」という。

しかし、迷いからは抜け出せたと思います。
自分が美味しいと思うスコーンはどんなものなのかというのを知ることが出来ました。


私が好きなスコーンはまず第一に粉の香りを感じ楽しめるもの。
甘さはほんのりと、食感は重すぎず軽すぎずホロリと崩れるもの。
それは私がイギリスで食べた中で美味しいと感じた味です。
言葉にするのは難しいのですが、コレだー!という納得のいくものを作るのに3年もかかってしまいました。

個人的に一番重要な小麦粉の味。
この粉が難しく、イギリスの一般的な薄力粉は蛋白量が日本の薄力粉より多く、日本でいうところの中力粉に当たります。
なので日本の小麦粉を使う場合に薄力粉と強力粉を混ぜて使ったりしますが、それで簡単に解決はせず、日本の粉とイギリスの粉では粉の精製度の違いや、粒子の大きさが違うため、繊細で口当たりなめらかなものになりやすく、求める食感を作るのが難しかった。
また粉の吸水率が違うので、イギリスのレシピをそのまま日本の粉で作ってしまうと、あれ?今日作ってるのはお好み焼きかな?というほどベッチャリしてしまいます。
色々、色々、いろいろ試して、コレでいこう!という小麦粉を選別し、今は3種類ブレンドして使っています。

その粉に合わせて生地をまとめる時の混ぜ方、バターの状態はどの硬さがベストなのかどの様に粉に混ぜ込むか、ベストな水分量と生地の状態、何度も試しました。

作っては食べて、作っては食べて、作っては食べて・・・
気がつけば体重が増加!理想のスコーンを作り上げる代償は大きかった。。。


そんなこんなで私好みのスコーンが出来上がったわけですが、スコーンの好みは十人十色
コレが私が好きな味なの!と人に食べてもらっても「ふーん・・・」で終わる可能性は十分あります。
そして自分自身も明日また作ってみて、あ、やっぱコレじゃなかったとか思うかもしれません。笑

 

イギリスでスコーン作りを教えてくださったイギリス人の師匠いわく、
スコーンを美味しく作るコツは “難しいことは考えずに気軽に楽しく作ること”

私が初めて作ったスコーンが美味しかったのは、きっと何も難しいことは考えずに出来上がった後のティータイムを楽しみにしながら作ったからかもしれません。

そして一番最高に美味しいのは、なんていったて焼きたてであります。
正直焼きたてであれば、どんな材料を使っても、どんな作り方をしたって美味しいという。
あれやこれやとこだわったのは何だったのかとなります。
しかし、あれやこれやと考える事がまた楽しいのです。

究極のプレーンスコーン作り、季節の素材を使ったいろいろな味のスコーン作り、私は当分スコーン沼から受け出せることはなさそうです。

なんだかすごく長い記事になってしまった割には本題の回答が出ていない気がします。すみません^^;
またスコーン作りを続けた上で感じた事を書けたら良いなと思います。

 

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2 Comments

  1. mom69

    acco 様

    こんにちは。
    お久しぶりです。

    先日は、ご丁寧なお返事を頂いていたようで、
    ありがとうございます♪

    今回の内容も、とても興味深く拝見させて頂きました。

    スコーンは、『afternoonteaの代表格』という上品なイメージでしたが、
    渡航後、『リーズナブルで、これ一つでお腹を満腹にしてくれる庶民的な食べ物』へと印象がガラリと変わったことを記憶しています。

    ナショナルトラストや教会に併設してあるtearoomをよく利用していました。
    ステンレス製のティーセットと共に運ばれてくるスコーンに、毎回ウキウキしたものです。

    当時は、スコーンにクリーム&ジャムを山盛りという『若気のいたりスタイル?!』で頂いていたので、スコーン自体を味わう余裕はありませんでした。
    (因みに、私も月5キロ単位で体重が増えていました。。。)

    acco様のブログを拝見して、粉や湿感、風味など、丁寧にスコーンを堪能するため、また訪れたくなりました。

    もう少しするとイギリスにも、花々があふれる最高の季節がやってきますね。
    想いを馳せながら、過去の記事も併せて読ませて頂きます。

    ありがとうございました♪

    Reply
    1. acco (Post author)

      mom69 様
      コメントありがとうございます♪

      私も渡英前はスコーンはホテルのアフタヌーンティーに出てくる上品なイメージでしたが、いざ現地へ行ってみるとドカンとこぶし大の大きさで横にモリモリと溢れんばかりに盛り付けられたクリームとジャム、なんてカジュアルなんだとビックリしました。
      ティールームで注文した後にどんなスコーンが出てくるんだろう、どんなティーセットでお茶をいただけるのだろうと私も毎回ウキウキでした。

      ステンレス製のティーセット、レトロ感があって私も好きです。
      取手が熱くなってて毎回やけどしてました。笑
      ステンレスのポットに素っ気ないカップ、紅茶は茶葉ではなくティーバッグで、そんな飾らない日常的なティータイム大好きです。

      自分が思うがまま書いているブログではございますが、少しでもお楽しみいただけたなら幸いです。
      こちらこそありがとうございます♪ acco

      Reply

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