一番シンプルなイギリス版のプリン、ベイクドカスタードを作りました。
お盆の墓参りへ行った時、養鶏所を営む母の同級生から初卵をいただきました。
初卵とは鶏が初めて産む卵のことらしく、養鶏所のご主人いわく、普通の卵よりも味がちょっと濃いかもよ~との事。
そういえば昔、ペットとして烏骨鶏のメスを2羽飼っていたことがあります。
その子達が初めて産んだ卵は、その時入院中だった祖母へ早く良くなる事を願って贈ったので、自分が食べることはなかったなぁと。
今回そんな貴重な卵をいただくチャンスが巡ってまいりました。楽しみです♪
左が普通の卵、右が初卵です。
初卵のほうがちょっと小さいです。
こんな貴重な卵をどうやって食べようかな?と考えた結果、そうだ!あれだ!プリンだ!プリンにしよう!
ほろ苦のカラメルと一緒に食べるあのカスタードプリンではなくて、卵の味を一番感じられるであろうイギリスのベイクドカスタードを作ってみることにしました。
Baked custard(ベイクドカスタード)は卵、牛乳(又は生クリーム)、砂糖で作った卵液をオーブンで焼いただけのとってもシンプルなプリンです。
ちなみに日本でいうカラメルのかかったプリンは、イギリスではcaramel custardと呼びます。
プリンだからpudding(プディング)で通じるかと思いきや、プディングはデザート全般を意味するので、カラメルの付いたカスタード菓子ということでcaramel custardと言わないと通じません。
もうなんだか、日本のプリンやらイギリスのプディングやら自分で文章を書いていてプリンという名称とは?と混乱してきます。
ということで、初卵を使ってレッツ・ベイクドカスタード作り!
初卵は卵の大きさも小さかったように、中の黄身も小さめのものが多いです。
なのでレシピでよく見る卵何個分というのが通じないですね。そのあたりはカンで進めま~す。
卵に砂糖を加えて撹拌し、温めた牛乳を少しづつ加えて卵液を作ります。
耐熱皿に移して、上にナツメグをかけます。
イギリスのベイクドカスタードといえばナツメグは欠かせません。これがかかってないと何か物足りないと思ってしまいます。
ナツメグなんてイギリスへ来る前はハンバーグ種を作るときにしか活躍しない調味料庫の端っこ族なイメージしかなかったので、イギリスへ来て色々と使われるナツメグを見てびっくりしたものです。しかも菓子にも入れるのか!と。しかもしかも、あちらの人はすでに粉状のものより種子?の状態のものをその時その時に削って使うのです。
ナツメグが入ったお菓子で初めて食べたのは、菓子に分類してよいか微妙なところですが、イギリス人の家庭にホームステイをした時にホストマザーが作ってくれたライスプディングでした。
ライスプディングとは牛乳と砂糖で甘く煮た米であり、それだけでも米が主食の国民としてはそれを出された時の衝撃は凄まじくて、その上、その甘い米の上にハンバーグに入れる香辛料を振りかけられた!未知との遭遇!となったのでした。
初めて食べたライスプディングwithナツメグは、始めは半端ない違和感との戦いでしたが、後半に入ると慣れてきて、ミルク香る甘いねっとりとした米にナツメグの少しピリッとした香りと味がよく合うなぁと感じました。
話が少しベイクドカスタードから離れましたが、ナツメグを上にかけた後、オーブンへ入れて蒸し焼きにします。
焼き上がりました。
お皿に取り分けて、ホイップクリームと桃を添えてみました。
卵と牛乳の甘くほんわかとする味にナツメグの独特の甘くスパイシーな香りとほんのりとした苦味が全体を引き締めてくれています。
カスタードプリンのカラメルの役割をナツメグが果たしてくれている感じです。
初卵としての味はどうか?というと、そこまで劇的に濃いというわけではないですが、気持ち的に、ああ、にわとり達が一生懸命産み落とした鶏人生初の卵かと思うといつもよりも美味しい気がします。おばあちゃんに食べさせてあげたい。そんな味です。
いつも作って食べているものでも、何か特別な素材を使うと気持ち的に美味しさと楽しさが増して良いですね。
とても貴重なティータイムとなりました。